発行日 2010年10月1日
Published Date 2010/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011002910
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50歳代男性。患者は発熱および肛門部痛を主訴に近医を受診、Fournier gangreneと診断され、著者らの施設にある皮膚科へ入院となった。入院時、肛門縁から右臀部皮膚に高度の発赤と腫脹、ならびに皮膚剥離面から膿の排出が認められた。また、骨盤部CTでは右臀部皮下~陰嚢後方に大量のガスが確認された。以上より、本症例ではFournier gangreneに対して切開排膿、デブリードマンが行われ、回復後に貧血の精査目的で外科へ転科となった。所見では大腸内視鏡で歯状線から口側に長径8cmにわたる全周性2型の腫瘍性病変がみられ、骨盤MRIでは直腸内に腫瘤が認められた。そして、特に右後壁では肛門挙筋まで浸潤がみられ、Stage IIIaの下部直腸癌であった。以後、腹会陰式直腸切断術(D3)が施行された結果、病理組織学的に深達度AI(肛門挙筋)、ly1、v1で、Stage IIの下部直腸癌と診断された。術後の経過は良好で、直腸癌術後14日目に形成外科で大臀筋皮弁形成術が施行され、目下は外来化学療法施行中である。
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