発行日 2010年5月1日
Published Date 2010/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010200991
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50歳代男。検診の腹部超音波で右後腹膜に腫瘤を指摘された。CTでは腎筋膜に沿ってその外側に6×4.5×3cmの軟部腫瘤を認め、内側の境界は不明瞭で、周囲脂肪織の濃度は上昇していた。上行結腸との明らかな連続性はなく、腫瘍内部はやや不均一で、石灰化は認めなかった。造影で早期濃染部はなく、ごくわずかな造影効果を示した。MRIで腫瘍はT1強調像でやや低信号、T2強調像でやや高信号を示した。開腹術を施行し、右腎下極の後腹膜腔の脂肪組織内に弾性硬の腫瘤を認め、周囲の腎・肝・上行結腸に明らかな浸潤はなく、脂肪組織と共に腫瘤を切除し摘出した。病理組織所見は成熟した密な膠原線維と小型で紡錘形の異型性に乏しい細胞群がうねるように増殖し、一部には渦巻く像も認めた。辺縁部では脂肪組織の巻き込みがみられた。Nissl顆粒を有する神経節細胞が散在し、一部には密にみられた。以上より神経節細胞腫と診断した。術後経過は良好で、第8病日に軽快退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2010