発行日 2010年4月1日
Published Date 2010/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010160814
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65歳男。アルコール性肝障害の定期検査にて肝に病変を指摘された。入院時検査にて好酸球増多を認め、腹部CT、腹部MRI、腹部血管造影CT各所見にて肝S5とS8に病変を認めた。S5は肝細胞癌(HCC)、S8は肝内転移を疑い、肝前区域切除術を行った。病理組織所見より、S5の腫瘍は中分化型HCCであった。S8は著明な炎症細胞浸潤を伴う微小膿瘍を認め、Charcot-Leyden結晶とpalisading granulomaを認めた。抗寄生虫抗体スクリーニング検査を行ったところ、イヌ回虫と顎口虫が抗体弱陽性であった。以上のことから、HCCに合併したイヌ回虫による内臓幼虫移行症(VLM)と判断した。術後経過は良好で、第25病日に退院となった。好酸球は改善しているため投薬はしていないが、再発の徴候は認めない。
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