門脈と脾臓のup date
門脈 バルーン下逆行性経静脈的塞栓術
近森 文夫
1
,
井上 敦
,
岡本 博司
,
国吉 宣俊
,
河島 孝彦
,
高瀬 靖広
1国吉病院 消化器内科
キーワード:
再発
,
食道胃静脈瘤
,
脾動脈
,
治療成績
,
バルーン下逆行性経静脈的塞栓術
,
経頸静脈的逆行性塞栓術
,
脾動脈塞栓術
Keyword:
Esophageal and Gastric Varices
,
Splenic Artery
,
Recurrence
,
Treatment Outcome
pp.24-31
発行日 2010年1月1日
Published Date 2010/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010069041
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経頸静脈的逆行性塞栓術(TJO)施行胃静脈瘤105例の胃静脈瘤消失率は100%、再発率は0%であった。しかし、5年累積TJO後食道静脈瘤発生率はChild-Pugh Class A 10%、B 35%、C 73%と肝機能不良なほど高率となった(p<0.01)。そこで、筆者らは胃静脈瘤に対するより進化した治療法として部分的脾動脈塞栓術(PSE)・TJO併用療法を考案した。2002年11月~2006年12月にPSE・TJO併用療法で治療した胃静脈瘤14例(1群)とTJO単独で治療した胃静脈瘤19例(2群)の治療成績について比較・検討した。胃静脈瘤消失率は1群100%、2群100%であった。3年累積生存率は1群92%、2群95%と有意差はなかった。TJO後累積食道静脈瘤発生率は1群で1年0%、2年9%、3年9%、2群で1年27%、2年45%、3年45%と、1群で有意に低率であった(p<0.05)。胃静脈瘤に対するPSE・TJO併用療法はTJO単独に比べて、TJO後の食道静脈瘤発生を低率に抑える点で有用と思われた。PSEはTJO後の門脈系うっ血の予防に貢献するものと思われた。
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