門脈と脾臓のup date
脾臓 部分脾動脈塞栓術か脾摘か
吉田 寛
1
,
真々田 裕宏
,
谷合 信彦
,
峯田 章
,
川野 陽一
,
内田 英二
1日本医科大学 外科
キーワード:
肝性脳症
,
食道胃静脈瘤
,
汎血球減少症
,
脾臓摘出術
,
脾動脈
,
治療成績
,
禁忌(治療)
,
脾動脈塞栓術
Keyword:
Esophageal and Gastric Varices
,
Hepatic Encephalopathy
,
Pancytopenia
,
Splenectomy
,
Splenic Artery
,
Treatment Outcome
pp.80-83
発行日 2010年1月1日
Published Date 2010/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010069049
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部分脾動脈塞栓術(PSE)と脾摘の功罪について述べる。PSEでは血管造影剤過敏症例とChild-Pugh Score 13点以上、脾摘ではChild-Pugh Score 10点以上(Child-Pugh Class C)を原則適応外としている。合併症は、PSEでは左側腹部痛77.6%、発熱94.8%、腹水貯留5.2%、左胸水貯留3.4%、脾膿瘍1.7%であった。脾摘では重症感染症がまれに起こるため術後にPneumococcal vaccine投与が必要である。時に門脈血栓が出現するが、近年は術後抗凝固療法により減少しつつある。両方法とも汎血球減少症、食道・胃静脈瘤、肝性脳症に対し有効であるが、脾摘のほうが効果は確実である。しかしPSEは低侵襲で、全身状態に合わせて梗塞範囲を加減でき、しかも後日追加治療が可能である。また脾の一部を温存できる。門脈圧亢進症に対する脾温存の是非が解明されていない現在、治療成績も両者遜色ないことから患者の希望や各施設の特色から判断して治療法を選択すべきである。
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