発行日 2009年6月1日
Published Date 2009/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009290339
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56歳女性。患者は10年前に高血圧症に対する動脈硬化症の精査で、頸動脈エコーにて甲状腺右葉下極に9mm大の結節性病変と1cm大の右側頸部リンパ節腫大が指摘された。だが、患者希望で経過観察とされ、今回、患者同意による穿刺吸引細胞診で乳頭癌、class Vと診断された。入院時所見では頸部超音波ならびにCTで甲状腺右葉下極に9mm大の石灰化を伴う結節性病変が確認され、右側内頸静脈背側には9mm大の結節性病変が認められた。また、Tlシンチでは右甲状腺下極外側とその右側外側に集積がみられ、FDG-PETでは前頸部右側に2個の限局性集積が認められた。以上より、本症例は甲状腺微小乳頭癌と診断され、治療として甲状腺右葉切除術+リンパ節郭清が行われた。その結果、病理所見では病変は淡明な核、核封入体、核切り込み像を有する腫瘍細胞で構成され、リンパ管・脈管侵襲、被包を伴う限局充実型の高分化型乳頭癌であった。摘出リンパ節の右側No.IVには転移が認められたが、術後8ヵ月経過で再発の兆候は認められていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2009