消化器外科領域におけるoncologic emergency
肝臓癌 肝癌破裂、下大静脈腫瘍栓
青木 琢
1
,
國土 典宏
1東京大学 肝胆膵・人工臓器移植外科
キーワード:
下大静脈
,
肝細胞癌
,
超音波診断
,
流血中腫瘍細胞
,
肝動脈塞栓術
,
肝臓破裂
,
腹部CT
Keyword:
Carcinoma, Hepatocellular
,
Neoplastic Cells, Circulating
,
Vena Cava, Inferior
,
Ultrasonography
pp.726-732
発行日 2009年7月1日
Published Date 2009/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009246573
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肝細胞癌(HCC)に関連するoncologic emergencyとして、破裂および下大静脈(IVC)内腫瘍栓を採り上げた。HCC早期発見例の増加に伴い破裂例の頻度は減少しているが、破裂例の予後は依然として不良で、特に初期治療による救命率はほぼ横ばいのままである。肝動脈塞栓術(TAE)による止血と二期的な肝切除が長期予後を期待できる最善のストラテジーと考えられるが、出血を契機とした肝不全への進行を抑止し、肝切除につなげる症例を増やすための方策が必要である。IVC腫瘍栓に対しては突然死の予防、生活の質(QOL)の確保の観点から積極的切除が行われる。手術の侵襲をなるべく抑え、かつ安全に切除を行うためのさまざまな工夫がなされているが、腫瘍栓の進展の程度によっては体外循環などの大きな侵襲を伴う手技が必須となる場合がある。集積症例がまだ少ないこともあり、長期生存の観点からみた切除の意義はまだ十分には示されておらず、今後の課題である。
©Nankodo Co., Ltd., 2009