発行日 2009年1月1日
Published Date 2009/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009099204
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過去10年間に扱った気道や食道の緊急処置後の医原性頸部食道損傷(ICEI)合併例を対象に臨床経過を検討した。1)ICEIの原因となった緊急処置は、食道異物に対するオーバーチューブを用いた緊急上部消化管内視鏡(GE)下摘出術2例、上部消化管出血に対する緊急GE下止血術1例、呼吸停止に対する気管挿管1例であった。2)GEによるICEIの3例はすべて損傷時に出血が認識されたが、その場でICEIの確定には至らず、最終的に手術となったのは平均5日後であった。3)3例にSC+MD法が施行され、術前状態不良例もあったが、全例において耐術、救命し得た。また、呼吸停止、気管挿管の1例はICUベッド上でSC+MD法が施行されたが、操作自体は十分可能であった。尚、術後2例で微小縫合不全が生じたものの保存的に対応可能であった。4)PTP誤飲に対しGE下摘出術後の症例は上縦隔ドレナージのみにとどめたが、発症後11病日目に術死となった。5)担当医師の十分な説明により、患者・家族には原因となった処置の必要性が十分認識されたと考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2009