膵癌の外科治療は進歩したか
膵体尾部癌 膵体部癌に対する腹腔動脈合併尾側膵切除
土川 貴裕
1
,
近藤 哲
,
平野 聡
,
市村 龍之介
,
橋田 秀明
,
鈴置 真人
,
加藤 健太郎
,
佐川 憲明
,
鈴木 温
,
七戸 俊明
,
田中 栄一
1北海道大学 大学院腫瘍外科学
キーワード:
血管外科
,
術後合併症
,
膵切除
,
膵臓腫瘍
,
膵瘻
,
生存率
,
腹腔動脈
,
リンパ節郭清
,
治療成績
Keyword:
Celiac Artery
,
Lymph Node Excision
,
Pancreatectomy
,
Pancreatic Fistula
,
Pancreatic Neoplasms
,
Postoperative Complications
,
Vascular Surgical Procedures
,
Survival Rate
,
Treatment Outcome
pp.644-649
発行日 2008年6月1日
Published Date 2008/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008227108
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膵体部癌は遠隔転移のみならず腹腔神経叢や神経節に直接、あるいは脾動脈、肝動脈を介して浸潤し、非切除とされることがある。当教室では、遠隔転移のない局所進行膵体部癌に対し、標準手術として腹腔動脈合併切除を伴った尾側膵切除術を行っている。術前にIVR(interventional radiology)の手技で総肝動脈塞栓術を行い、上腸間膜動脈から膵頭部アーケードを介した側副血行路を増大させ、胃および肝虚血による臓器障害を予防している。自験例の手術成績からは、高い根治切除率が達成可能であった。長期成績に関しては、Stage IVb症例に対しては予後不良であったが、Stage III,IVa症例に対しては良好な成績が得られている。膵癌に対する根治的治療法が積極的外科手術以外にない現状では、われわれの行っている腹腔動脈合併切除を伴った尾側膵切除術は局所制御に優れ、安全に施行可能な術式であると考える。
©Nankodo Co., Ltd., 2008