発行日 2008年5月1日
Published Date 2008/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008196517
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
84歳女。主訴は肛門痛であった。直腸診にて肛門管後壁に2cm大の潰瘍性病変を認め、肛門上皮はほぼ全周にわたりWhite-head's anusを思わせる様態であり、肛囲左側には淡黒色斑様の皮疹を認めた。肛囲左側皮膚病変の生検診断はBowen病であり、肛門管病変の生検診断は扁平上皮癌であったことから、両者は独立した病変と考えられ、肛門管癌、壁深達度Aの診断で腹会陰式直腸切断術を施行した。病理組織学的には肛門管を由来とする扁平上皮癌で皮膚・腺組織への直接浸潤を認め、肛囲左側皮膚病変部位は上皮内進展の形態をとった直接浸潤によるものであり、腫瘍周辺には高度のリンパ管侵襲を認めた。術後は仙骨前面に留置したドレーンから静脈性出血が持続したが、FFP4単位により改善し、術後23日目に退院した。その後は外来で経過観察する方針とした。
©Nankodo Co., Ltd., 2008