発行日 2007年8月1日
Published Date 2007/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008003682
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56歳男。全身倦怠感および尿濃染が出現し近医に受診し腹部超音波検査で膵頭部に腫瘤を指摘されて紹介入院となった。入院時血液検査で貧血を認め、生化学検査ではALP、T-Bilの上昇および腫瘍マーカーでCA19-9が高値を示した。膵頭部に境界明瞭な腫瘤を認め、腹部CTで等吸収から低吸収を呈し、腫瘍内部は不均一に造影され腫瘍周囲も造影効果を伴っていた。血管造影で淡い腫瘍濃染像を認め、MRIではT1強調画像で低信号にT2強調画像で高信号に描出される部分は腫瘍内出血を反映しておりGISTと考えた。また、内視鏡下生検による免疫組織化学染色で紡錘形細胞はビメチン、c-kit、デスミンは陽性、CD34、S-100、サイトケラチンが陰性で平滑筋細胞の性質を有する高悪性度のGISTを疑う所見で術前診断を行い、手術を施行した。摘出標本の病理組織学的検査による免疫組織化学染色では紡錘形細胞はビメチン陽性で、ごく一部でサイトケラチンが陽性で、c-kitは陰性であった。退形成性膵管癌と確定診断したが画像特徴はGISTと退形成性膵癌の特徴を併せ持っていたため画像による鑑別は困難であった。術後58日に退院したが73日目の腹部CTで多発性肝転移を認め、全身状態が悪化し術後82日目に死亡した。
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