発行日 2007年6月1日
Published Date 2007/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2007243126
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51歳男性。人間ドック受診時に便潜血反応陽性と腹部超音波検査にて肝の腫瘍を指摘された。腹部骨盤CTで肝S8に径3cm大の造影効果のある腫瘍を認めた。また注腸検査および大腸内視鏡で下部直腸に径15mm大、わずかに中心陥凹を伴う隆起性病変を認め、内視鏡的粘膜切除術(EMR)が行われた。病理検査にて直腸カルチノイド腫瘍の診断で、ly0、v0であったが、深達度sm以深で断端陽性であった。直腸低位前方切除術(D2郭清)および肝部分切除術を施行した。直腸摘出標本所見にて下部直腸にEMR後の瘢痕を認め、病理学的検索にてカルチノイド腫瘍の遺残あり、腫瘍深達度はmpで、脈管侵襲はly0、v1であった。肝はS8およびS2にそれぞれ約3cm、約1cm大の黄白色を呈した腫瘍を認め、病理検査にてカルチノイドの肝転移の診断であった。術後経過は良好で第11病日に退院し、現在まで再発なく経過観察中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2007