発行日 2007年6月1日
Published Date 2007/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2007243125
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49歳男性。心窩部痛、腹部膨満感を主訴とした。腹部触診で臍左側に圧痛があり、X線所見にて臍部を中心に腸管の拡張像を認めた。CT所見では腫瘍、ヘルニア、索状物などは認めず、イレウス・チューブ挿入後も小腸の拡張を認めた。イレウス・チューブ造影像では、Treitz靱帯より約1m肛門側の小腸に4cmほどの狭窄像を認めた。イレウス・チューブによる減圧後2週間経過しても腸閉塞の改善がみられず、臍腸管遺残症に起因する内ヘルニアなどの機械的狭窄、閉塞と診断し手術を施行した。術中所見にてTreitz靱帯より約170cm肛門側に重複腸管を認め、その盲端部に瘢痕性狭窄を認めた。腸管の血行障害は認めず、狭窄部と重複腸管を合併切除し、小腸を端々吻合し手術を終えた。病理標本肉眼所見で重複腸管は腸間膜側に認め、内膜は粘膜で覆われていた。また病理組織所見では重複する小腸それぞれに、内輪・外縦の固有筋層、神経叢を認め、一部で固有筋層の連続性を認めた。ともに粘膜の連続性は認めなかった。術後経過は良好で、術後第14病日目に退院となった。
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