発行日 2007年6月1日
Published Date 2007/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2007243123
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
21歳女性。腹痛を主訴とした。後腹膜腫瘍の診断で入院となった。単純X線検査で左肋弓下に石灰化像を認め、造影CT検査では左腎より頭側に、脾臓を背側より圧排するようにlow-iso densityの多房性腫瘤を認め、一部石灰化も認めた。血管撮影検査では一部栄養血管を認めたものの、hypovascularな腫瘤であった。後腹膜腫瘍の診断で腫瘍摘出術を施行した。開腹すると膵尾部、脾臓の背側に腫瘤を認めた。周囲との癒着はなく、一方前面には左副腎が付着するように存在しており剥離困難であったため、左副腎を合併切除し腫瘤を摘出した。切除標本所見にて腫瘍は多房性からなり、表面は赤色調の被膜で覆われていた。割面では泥状、ゲル状の内容物を認め、毛髪も含有していた。また病理組織所見では腫瘍は皮膚、付属器、軟骨、円柱上皮などからなり一部粘液産生を認めた。未熟な組織は認めず、成熟型奇形腫の診断であった。なお合併切除した左副腎と腫瘍の境界は明瞭で関連は認めなかった。術後経過は良好で、第9病日に退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2007