発行日 2011年2月1日
Published Date 2011/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011126059
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膵頭十二指腸切除術(PD)を施行した81例(平均67.4歳)を対象に、術後膵液瘻に対する血清アルブミン(ALB)値とALB製剤投与の意義を検討した。対象のうち術前血清ALB値が3.9g/dl以上の正常ALB群は42例、3.9g/dl未満の低ALB群は39例であった。術式はPDが8例、亜全胃温存PDが73例で、膵液瘻合併は24例に認めた。低ALB群は正常ALB群に比べて高齢で、糖尿病合併が多い傾向、BMIが低い傾向であった。術式、膵管径、ALB製剤使用の頻度、膵液瘻の発生頻度に有意差はなかった。術中因子では低ALB群で有意に手術時間が長く、出血量が多かった。低ALB群は術後も血清ALB値が低値で推移した。単変量解析による膵液瘻合併の危険因子は男性、糖尿病、PDを要した原疾患、手術時間で、術前血清ALB値、ALB製剤の使用には有意差はなかった。多変量解析では男性、PDを要した原疾患、膵管径が危険因子であった。臨床データでは術後体温、白血球数、血清CRP値が膵液瘻合併例で有意に高値であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2011