発行日 2012年5月1日
Published Date 2012/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012264961
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88歳男。閉塞性動脈硬化症に対し、腹部大動脈-両側大腿動脈バイバス術を施行された。その13年後に左鼠径部の腫瘤を自覚した。左大腿動脈と人工血管の吻合部仮性瘤と診断し、吻合部仮性瘤切除根治術を施行したが、術後3ヵ月に左鼠径部膨隆より混濁した血液浸出液を認め、左鼠径部膿瘍で再入院となった。造影CTでは、人工血管と左大腿動脈吻合部周囲に感染所見を認め、創の浸出液培養からStreptococcus agalactiaeが検出された。創部洗浄と消毒の保存的治療を行ったが、入院34日目の洗浄処置中に著明な出血を認めたため緊急手術となった。前回手術のY型人工血管の左脚を露出、離断して新たに人工血管Advanta VXT 7mmを端端吻合し、新たに吻合した閉鎖孔から左大腿下部に通し左膝窩動脈に端側吻合した。離断したY型人工血管左脚遠位端は可及的に切除し、Y型人工血管の左脚を切除した。総大腿動脈・浅大腿動脈・深大腿動脈を切離、縫合閉鎖しデブリドマンの後、ドレーンを留置し創を閉鎖した。術後の左下肢足首-上腕血圧比(ABI)は1.05(術前0.69)に改善し術後30日に軽快退院した。
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