発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2007038501
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2002年1月から2005年12月に大腸癌に対するクリニカルパスを使用し観察した症例160例における糖尿病について検討を行った。160例のうち、糖尿病を併存した症例は23例であり、全て2型糖尿病で、術前のHbA1cの平均値は7.3±1.6%であった。糖尿病の術前コントロールは食事療法が9例、経口薬服用が9例、インスリン自己注射が5例であった。また、9例は術前に血糖コントロールの必要性から入院管理を行い、その内訳は食事療法例1例、経口薬服用例3例、インスリン自己注射例5例であった。糖尿病合併例の平均年齢は70±8.6歳と糖尿病のない症例の平均年齢64.1±11.1よりも有意に高齢であったが、大腸癌の占拠部位や組織学的stageには差はなかった。術後手術部位感染の発症率には糖尿病の有無で有意差はなく、退院が延長した負のバリアンスに有意差はなかった。非バリアンス症例では糖尿病の存在による在院日数、胃管の抜去、ドレーンの抜去時期に差はなく、自己判断式退院の目標の各項目の達成時期にも差はなかった。インスリン自己注射の5例では血糖管理に必要なパスの追加がなされた。その他の症例では、各々に適した糖尿病への対応を目的とするパスの追加、変更がなされた。パスが変更、追加されなかった症例は5例のみであった。良好に血糖がコントロールされている症例ではクリニカルパスの変更の必要はなく、変更しても大きな影響はないと考えられた。
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