発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2003207575
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胃癌および大腸癌手術症例各21例を対象に,自己判断式退院目標を付加した消化器癌外科治療用クリニカルパスを導入し,その有用性について検討した.クリニカルパスの退院目標は,1)体温,2)食事,3)疼痛,4)作業,5)清潔,6)血液検査の6項目をすべて満たした日を仮想退院日とした.その結果,仮想退院日の平均は,全体で18日,胃癌症例で21.2日,大腸癌症例で14.9日であった.胃癌,大腸癌とも術式に拘わらず消化器癌手術後の経過として食事の摂取をはじめ疼痛,作業,体温などの因子がドレーン抜去に関与し,さらにドレーン抜去時期が清潔に大きく影響することが明らかとなった.仮想退院日から算出した入院期間と実際の差は全体で平均4.5日,胃癌症例で4.1日,大腸癌症例で5.1日であった.なお,退院の基準を満たすことなく退院した症例は1例も認めなかった.以上より,自己判断式退院目標を付加したクリニカルパスは,患者と家族に満足してもらいながら,早期退院を目指す上で有用と思われた
©Nankodo Co., Ltd., 2003