発行日 2006年8月1日
Published Date 2006/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2006286938
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69歳女.腹部膨満感,体重増加(7.8kg/2週間)が出現した.白血球数14800/μl,C反応性タンパク28.53mg/dlであった.腹部CTは壁肥厚を伴った17×21×23.5cmの肝嚢胞を描出し,下大静脈は嚢胞により強く左方へ圧排され,下部食道との間で扁平化していた.心エコーでは巨大嚢胞による下大静脈の強い圧排がみられ,右心系の虚脱を認めた.抗生物質を投与したが症状は軽快せず,体重は更に増加(6kg/入院後6日間)した.経皮経肝ドレナージを追加した.ドレーンからの排液量減少(最大950ml/日以上),炎症所見の軽快,腹部膨満感の改善に伴い,体重はドレナージ開始から約1週間でほぼ健常時に戻った.嚢胞の大きさ,症状再燃の可能性,胆嚢炎の合併を考慮し,手術を行った.胆嚢摘出後,胆嚢管からの術中造影で嚢胞と胆管の交通がないことを確認した.嚢胞天蓋を切除し,嚢胞内にドレーンを留置した.術後,ドレーンからの排液は,術直後は200ml/日程度であったが,徐々に減少した.再燃はみられない
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