発行日 2005年8月1日
Published Date 2005/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2005264367
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77歳女.患者は右乳房腫瘤を主訴とした.超音波検査では,境界が比較的明瞭で内部に液状成分を含む不均一な高輝度エコーの嚢胞内腫瘤が認められ,マンモグラフィでは一部境界不明瞭な類円形の高濃度腫瘤を認めた.スピクラ,石灰化は認めず,カテゴリー4と診断された.また,穿刺吸引細胞診では2相性を示す乳管上皮の乳頭状集塊を少数認めたが,細胞異型は乏しく,class IIと診断された.以上より乳癌を強く疑い,手術を施行した.その結果,病理組織学的所見では,異物巨細胞に取り囲まれた多数のcholesterol cleftsを認めた.そして,その周囲には泡沫状組織球の集簇,出血,duct ectasiaの像も認められ,乳腺コレステロール肉芽腫と診断した.乳腺コレステロール肉芽腫の報告例は,1974年の報告以来,検索した限り本症例を含めわずか15例であるが,本症例のような嚢胞内腫瘍の像は1例しか報告されていない
©Nankodo Co., Ltd., 2005