発行日 2004年2月1日
Published Date 2004/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2004170427
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73歳女.左下腹痛,嘔吐を主訴とした.単純X線では左側骨盤内にのびる小腸ガス像を認めたが,明らかな鏡面形成像は2日後になって認められ,閉鎖孔ヘルニア嵌頓が疑われた.腹部CTでは回腸末端から小腸全体の拡張像を認めたが,回盲部腫瘤ははっきりしなかった.但し,骨盤腔内の拡張腸管による子宮の圧排像を認めた.Hip-knee signは陰性であった.腹痛はいったん軽減し,イレウスチューブによる減圧療法を行った.腹痛が再び増強し,持続的となったため,絞扼性イレウスを疑って緊急手術を施行した.末端部から約10cmにわたって回腸が左子宮広間膜部にRichter型に嵌頓していた.軽い牽引で容易に嵌頓は解除され,腸切除は必要なかった.ヘルニア門は直径約3cmで,仙骨子宮靱帯と子宮広間膜の襞で形成されていた.広間膜には前葉後葉とも欠損部分を認めなかった.術後経過は良好で,再発は認めていない.渉猟した限り異常裂孔を認めない子宮広間膜内ヘルニアの手術例は,自験例が初である
©Nankodo Co., Ltd., 2004