発行日 2002年8月1日
Published Date 2002/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2003026456
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54歳女.超音波,マンモグラフィー,針生検で乳癌と診断され,乳房円状部分切除,腋窩リンパ節郭清が施行された.腋窩ドレーンが抜去された後,38℃以上の弛張熱が出現し,食欲低下,嘔気,嘔吐,下痢,不眠等の症状と,軽度意識低下,血圧低下,尿量減少,前胸部と腹部の紅斑が認められた.手術部位には発赤,腫脹,圧痛はなく,皮弁下穿刺では混濁のない少量の淡血性液が吸引されただけであったが,念のため細胞培養に提出した.細胞培養により,MRSAが確認され,血液培養,尿培養,便培養は全て陰性であることから,毒素性ショック症候群(TSS)を疑った.創処置と抗生物質をVCMに変更し,全身状態は徐々に改善した.検出されたMRSAは,コアグラーゼII型,TSSトキシンー1,エンテロトキシンCの産生株と判明した
©Nankodo Co., Ltd., 2002