発行日 2002年4月1日
Published Date 2002/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2002253563
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49歳女.右乳房A領域に腫瘤を解知し,えくぼ症状を認めた.マンモグラフィーにより右MLO像の尾側に区域性に広がる不整形,桿状の微細石灰化を認めた.乳房超音波で内部不均一で脂肪レベルに近い低エコー域を認めた.穿刺吸引細胞診ではPapanicolaou染色で,癌細胞集塊及びその周囲にオレンジ色に染まる多量の粘液を認め,T1cN0M0 stage Iの粘液癌と診断し,乳房扇状部分切除術を施行した.腫瘤縁から2cm離して切除したが,術中迅速病理診断で,断端癌陽性となり,更に1cmの追加切除を施行した.追加切除標本の乳頭側断端付近の乳管内にも低乳頭状癌の進展を認め,温存乳房に癌遺残の危険性が高いと判断し,1998年全乳房切除術を追加した.追加で全切除した乳腺には,1ヶ所に低乳頭状癌を認めるのみであった.術後TAM20mgの経口投与を開始し,2年経過した現在,局所再発,遠隔転移は認めない
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