発行日 2002年4月1日
Published Date 2002/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2002241422
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
62歳女.上部消化管透視で胃核小彎に4cm大のIIc病変を認めた.生検による病理組織学検査でGroupV,低分化腺癌と診断された.腹部CT検査で肝転移や転移を示唆する腫大したリンパ節は認められなかった.以上の所見より胃角部小彎の胃癌と診断し手術を施行した.病期進行度はT1N2P0H0 stage IIであった.幽門側胃切除術,D2リンパ節郭清を行い,Billroth I法で再建した.肝細胞癌に類似した充実性の低分化腺癌で,sm,1y2,v0,INFα,n1と早期癌であるものの,第1群リンパ節まで転移陽性であった.特殊免疫染色所見で,AFP産生胃癌と診断された.AFP値上昇に対してCDDP,5Fu,ロイコボリンの投与を施行したが,効果なく,経口抗癌薬UFTの内服を5ヵ月間継続した.しかし口内炎等の副作用を認め中止した.UFT休薬後より急激に血清AFP値が上昇し,多発性肝転移を認めた.Epirubicinの肝動注化学療法を行ったが多発性肺転移も認め術後21ヵ月目に死亡した
©Nankodo Co., Ltd., 2002