臨床経験
異時性両側血胸を示した逆Chance型胸椎破裂骨折
深田 武久
1
,
森田 克彦
,
植木 貴之
,
花岡 伸治
1大阪医科大学 呼吸器外科
キーワード:
胸椎
,
胸部X線診断
,
血胸
,
脊椎固定術
,
輸血
,
胸腔ドレナージ
,
胸部CT
,
骨折-破裂
Keyword:
Blood Transfusion
,
Hemothorax
,
Spinal Fusion
,
Radiography, Thoracic
,
Thoracic Vertebrae
pp.418-421
発行日 2017年6月1日
Published Date 2017/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017264346
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症例は83歳女性で、比較的低速の乗用車と体側面が接触し転倒、背部を打撲し救急搬送された。体表面に後頭部挫傷、両肘打撲傷を認めた。胸部X線では、臥位正面像で右肺野の透過性低下を認めた。胸腹部造影CTでは、Th12破裂骨折と右胸水を認めた。右背側の胸水中にCT値が高い領域があり、血腫を疑った。椎体前方は骨棘で上下椎間に広範囲の架僑を認めた。Th12破裂部両側に骨片、血液検査で貧血を認め、胸椎骨折による胸腔内出血を疑った。Th12の逆Chance型骨折と右胸水貯留と診断し、緊急入院した。入院2日目に循環動態は安定化し、貧血の進行もなかったため保存的加療とした。胸部CT上、右胸水が増加していたため胸腔ドレーンを留置した。直後に血性排液を認め、右血胸と診断した。入院3日目の胸部CT上、左胸水が新たに出現し、胸腔ドレーンを留置した。直後に血性排液を認めた、左血胸と診断した。受傷後20日目に早期離床と今後の神経学的損傷を回避する目的で後方固定術を施行した。リハビリテーション後、独歩で退院した。
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