発行日 2017年4月1日
Published Date 2017/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017233273
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症例は78歳男性で、起床時に右手下垂を自覚したが約30分間で軽快した。救急外来を受診し、一過性脳虚血発作(TIA)と診断した。エダラボン、アルガトロバン水和物の投与を開始した。精査で大動脈弁乳頭状線維弾性腫を疑い、腫瘤表面に形成された微小血栓がTIAの原因と考え、ワルファリンカリウムを開始した。早期の外科的切除術を予定したが、治療を必要とする歯肉炎が再発し、手術を延期した。TIA発症3ヵ月後に塞栓症の再発なく手術を施行した。経胸壁心エコーでは、大動脈弁右冠尖に9×7mmの腫瘤を認めた。経食道心エコーでは、右冠尖弁腹左室側に付着する、可動性に富む辺縁不整な腫瘤を認めた。心臓CTでは、表面が絨毛状のイソギンチャク様腫瘤を認めた。胸骨正中切開でアプローチし、腫瘤を切除した。組織病理所見で乳頭状線維弾性腫と診断した。手術当日、人工呼吸器より離脱した。右鼠径創の問題で長期入院となったが、術後50病日に独歩退院した。
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