臨床経験
奇静脈葉を伴った自然気胸
仲田 庄志
1
,
佐竹 真
,
奥村 好邦
,
原 聡
,
閔 庚よう
,
中山 圭子
1伊丹市立伊丹病院 呼吸器外科
キーワード:
気胸
,
奇静脈
,
肺切除
,
ビデオ下胸腔鏡手術
,
胸腔ドレナージ
,
胸部CT
Keyword:
Azygos Vein
,
Pneumothorax
,
Pneumonectomy
,
Thoracic Surgery, Video-Assisted
pp.1017-1019
発行日 2016年11月1日
Published Date 2016/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017078316
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21歳男性。20歳時に左自然気胸(保存的加療)の既往があった。今回、特に誘因なく呼吸困難を自覚、右気胸の診断で呼吸器外科へ入院となった。胸部X線像では右肺の虚脱ほか、右肺尖から肺門に連続する線状影がみられた。胸部CTでは胸腔頂から肺門部にのびる線状影がみられ、最先端は棍棒状に拡張し、前後に連続していることから、膜様構造物と考えられた。右気胸および上葉と胸壁の広範な癒着と診断され、手術の施行となった。3ポート胸腔鏡で手術が行われたが、胸腔内の癒着は認められなかった。また、上葉の可動域も良好で、奇静脈間膜と上縦隔の間に癒着はなく、他の血管にも明らかな走行異常は認められなかった。しかし、上葉には奇静脈間葉間裂があり、ブレブはS3にみられた。以上より、本症例は奇静脈葉をもった右自然気胸と診断し、ブレブ部分を肺部分切除し、ポリグリコール酸シートを貼付して手術を終了した。
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