臨床と研究
硬膜外麻酔不適格症例に対する胸部傍脊椎ブロックの使用経験
児嶋 秀晃
1
,
井坂 光宏
,
保浦 慶之
,
清水 麗子
,
茅田 洋之
,
高橋 祥司
,
安藤 英二
,
大出 泰久
1静岡県立静岡がんセンター 呼吸器外科
キーワード:
嘔吐
,
悪心
,
胸部外科
,
抗凝固剤
,
硬膜外無痛法
,
術後痛
,
神経ブロック
,
低血圧
,
疼痛測定
,
無痛法
,
血小板凝集阻害剤
,
後向き研究
,
治療成績
,
Ropivacaine
Keyword:
Anticoagulants
,
Analgesia
,
Hypotension
,
Pain Measurement
,
Nerve Block
,
Pain, Postoperative
,
Nausea
,
Platelet Aggregation Inhibitors
,
Retrospective Studies
,
Vomiting
,
Analgesia, Epidural
,
Treatment Outcome
,
Thoracic Surgical Procedures
,
Ropivacaine
pp.828-831
発行日 2016年9月1日
Published Date 2016/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016402992
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2016年1月~4月の間に施行された呼吸器外科手術の中で、抗血小板薬または抗凝固薬内服のため硬膜外麻酔が不適格と判断され、傍脊柱ブロックが施行された11例(男性10例、女性1例、年齢69~84歳、平均年齢74歳)と硬膜外麻酔を施行した33例(男性22例、女性11例、年齢38~84歳、平均年齢69歳)を対象に比較検討した。その結果、2群間に術式の差はなく、両群とも皮膚切開長の中央値は10cmであった。また、NRSの推移でも術後第1・2日の安静時、体動時のNRSに有意差は認められなかった。副作用に伴う合併症では血圧低下や嘔気・嘔吐がみられたが、尿閉は傍頸椎ブロック群では認められなかった。一方、硬膜外麻酔群では血圧低下が15%、嘔気・嘔吐が15%、尿閉が9%で認められた。尚、手技に関する合併症は両群とも認められなかった。胸部傍脊髄ブロックは硬膜外麻酔と同等の術後鎮痛効果を有し、かつ副作用が少なく、また硬膜外麻酔が適応とならない症例に対しても合併症なく安全に施行することができた。以上より、傍脊柱ブロックは硬膜外麻酔の代替の術後鎮痛法になり得ると考えられた。
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