発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016339103
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例は76歳男性で、発熱、咳、胸部違和感で救急外来を受診し、軽度肺炎の診断で加療後軽快したが、その際のCTで左下葉に腫瘤影を認め当科紹介となった。X線で左下肺野に20mm大の分葉状陰影を認め、CTで左肺門部に石灰化を伴う腫瘤陰影を認めた。造影CTで腫瘤影は下行大動脈から左肺下葉に流入する拡張・蛇行した異常動脈と判明し、その起始部は10mmで、末梢は15mmと拡張し、動脈壁に石灰化を認めた。3D-CTでは左肺動脈A6分岐後の底区域枝の確認は困難であった。左肺底区動脈大動脈起始症と診断し、開胸手術を行った。左肺下葉胸膜表面の毛細血管の著明な増生を認め、異常動脈の中枢側と末梢側を結紮・切離した。左肺動脈から通常よりかなり細い左肺底区動脈が分岐しており、結紮・切離後に気管支と下肺静脈を処理し、下葉切除を完遂した。病理所見で異常動脈内膜に肥厚、粥状硬化を認めた。術後気瘻を認めた以外は経過良好で、14病日に退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2016