発行日 2016年2月1日
Published Date 2016/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016150847
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50歳男。首都高速道路下で作業中に、作業用リフトの横柵と道路桁に頸部を挟まれ受傷し、当院救急搬送となった。来院時、呼吸困難、四肢麻痺を認め、身体所見および画像所見より気管損傷、頸髄損傷と診断し、気管支鏡ガイド下に気管内挿管を行った。気管内挿管後にシーソー呼吸は消失し、胸部CTにて頸部気管構造の破綻が確認された。呼吸状態は安定していたため、頸髄損傷の評価を優先とし、入院3日目に気管形成術を施行した。手術所見では気管の完全断裂を認め、破断した第3、4気管軟骨を切除し、縦走する裂創は縫合修復した。さらに第2、第5軟骨輪の間で端々吻合し、正中部に気管切開用チューブを留置して終了した。術後経過は良好であったが、正中位固定の両側半回神経麻痺のためスピーチカニューレの変更はできず、受傷2ヵ月後にリハビリテーション目的に他院へ転院となった。臨床経過や手術所見より、本症例では鈍的外傷による非開放性頸部気管完全断裂と最終診断した。
©Nankodo Co., Ltd., 2016