発行日 2015年9月1日
Published Date 2015/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016030705
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著者らは冠状動脈吻合口作成器を使用した心拍動下心房中隔欠損(ASD)作成術を考案し、4例に施行した。全例が初回手術としてバルーン心房中隔切開術およびmodified Blalock-Taussingシャントを先行し、2回目の手術として両方向性Glenn術と同時に本法を施行し、全例生存した。人工心肺、modified Veno-Venus Extracorporeal Membrane Oxygenationの時間は平均109分であった。術前後の経胸壁心エコーを比較したところ、ASD径を全例で拡大することが出来た。ASD径は術前平均4.37mmから術後平均5.55mmへ拡大傾向を示したが、有意差はなかった。しかし、ASDを介した血流の流速は術前平均1.47m/秒から術後平均1.11m/秒に有意に減少した。全例とも術後の中心静脈圧は11~13mmHgであり、安定した経過であった。全例が手術当日に人工呼吸器を離脱でき、集中治療室の入室期間は平均2日で、手術後13~16日で自宅退院となった。以上より、本法が有効な治療法の一つとなり得る可能性が示唆された。
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