発行日 2009年2月1日
Published Date 2009/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2009114893
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28歳女。幼少時から心房中隔欠損症を指摘されていたが放置していた。腹部膨満感が出現し、胸部X線で心胸郭比67%を認め、両側肺野の著明なうっ血と、肺血管陰影の増強が見られた。心臓超音波で右心系の拡大を認め、肺体血流比5.8と計測した。入院当日から人工透析の導入となったが、第4病日より37℃台の発熱とWBCの上昇が続いた。また、PLT減少もみられ、抗体診断で抗ヘパリン・PF4複合体抗体(ELISA)が証明されたため、透析時の抗凝固薬をヘパリンからnafamostat mesilateに変更した。一方、腎機能障害は不可逆的で、透析用シャント作成前に心房中隔欠損症閉鎖術を施行する必要があった。入院後大20病日に心房中隔欠損症閉鎖術を施行し、体外循環中の抗凝固薬はargatrobanのボーラス投与と持続投与を併用した。術後経過は良好で、術翌日より透析を再開し、術後第8病日に左前腕に内シャントを造設して第22病日よりシャントを用いた透析へ移行した。全経過で大量出血や血栓塞栓症などの合併はなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2009