発行日 2015年2月1日
Published Date 2015/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2015140396
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
60歳男。右側胸壁の腫瘤を主訴に受診した。右第5肋間中腋窩線上に50×45mm大の腫瘤を触知し、可動性は不良で弾性硬、辺縁はやや凹凸状であった。MRI検査で右第5肋間レベルの前鋸筋内に45×35×13mmの扁平な腫瘤を認め、T1強調像・T2強調像とも高信号を示し、脂肪抑制併用T2強調像で信号低下を認めた。経皮的針生検で軽度異型細胞を認めたことから、atypical lipomatous tumor/well differentiated liposarcomaも否定できず、急速な増大の可能性もあると考え、切除の方針とした。左側臥位で腫瘍を中心に12cmの腋窩切開をおき、前鋸筋内に包埋されているウズラ卵大の腫瘍を切除した。その際、肋骨長軸へ3cmのマージンをとり、右第5肋骨と上下の第4・5肋間筋とともに切除した。切除に伴い胸壁に生じた80×70mmの欠損部に対しては、自家右大腿筋膜を採取して欠損部へ非吸収性縫合糸で固定し胸膜を再建するとともに、有茎広背筋皮弁を補填して被覆した。切除標本の病理組織所見から筋肉内脂肪腫と診断し、患者は術後12日目に軽快退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2015