発行日 2014年9月1日
Published Date 2014/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2015000764
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63歳男。胸部X線で異常陰影を指摘され、精査の結果、上大静脈浸潤を伴う浸潤性胸腺腫(cT3N0M0、臨床病期III期)の診断で術前化学療法後に手術施行となった。手術に際し左右腕頭静脈遮断時の脳血流をモニターする目的で、近赤外線分光法を利用した無侵襲混合血酸素飽和度監視システムによる大脳皮質の局所混合血酸素飽和度(rSO2)のモニタリングを、前額部にセンサーを貼付して行った。硬膜外麻酔併用全身麻酔下に開胸したところ、腫瘍は右肺上葉(S3)、右横隔神経、両側腕頭静脈および上大静脈に浸潤していた。クランプテストにて両側腕頭静脈の遮断でrSO2の低下を認めたことから、片側腕頭静脈遮断で段階的に上大静脈再建を行うこととした。まず、左腕頭静脈を人工血管にて再建した後、右肺上葉部分切除、右横隔神経合併切除を行い、右腕頭静脈および上大静脈を遮断・切離して腫瘍を摘出した。最後に右腕頭静脈を再建して手術を終了した。退院後に術後化学療法および放射線療法を行い、術後1年6ヵ月の現在、再発は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2014