臨床経験
上大静脈の合併切除再建を要した前縦隔成熟奇形腫
新垣 雅人
1
,
飯村 泰昭
,
長谷川 直人
,
加賀 基知三
1釧路市立釧路総合病院 外科
キーワード:
奇形腫
,
胸腔鏡法
,
MRI
,
縦隔腫瘍
,
上大静脈
,
縫合法
,
腕頭静脈
,
胸部CT
Keyword:
Magnetic Resonance Imaging
,
Mediastinal Neoplasms
,
Suture Techniques
,
Thoracoscopy
,
Vena Cava, Superior
,
Teratoma
,
Brachiocephalic Veins
pp.845-849
発行日 2015年9月1日
Published Date 2015/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016030710
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43歳女。健診の胸部X線で異常陰影を指摘された。CTでは前縦隔に内部不均一で高濃度構造と脂肪濃度構造を含み、辺縁に石灰化を伴う約10cm大の腫瘍を認めた。MRIではT1・T2強調像とも高信号を呈し、T1強調脂肪抑制像で一部信号低下を認めた。針生検で悪性所見は認めず、縦隔成熟奇形腫の診断で開胸術を行った。術中所見で腫瘍は右胸腔内に突出し、肺と癒着していたため右胸腔が観察できなかった。そこで胸腔鏡補助下に右上葉を部分切除し、腫瘍と癒着する右横隔神経、奇静脈弓を合併切除した。また、腫瘍は上大静脈(SVC)、左腕頭静脈とも癒着しており、左腕頭静脈を切離し、右房間と人工血管でバイパスし、SVCの腫瘍癒着部の中枢側と末梢側で血行を遮断した後、SVC壁の一部と腕頭静脈、奇静脈、横隔神経を合併切除する形で摘出した。SVCの欠損部は直接縫合で修復した。術後は抗凝固薬を6ヵ月間内服し、その後抗血小板薬に変更した。術後1ヵ月のCTで形成したSVCと人工血管は開存しており、術後1年経過現在、再発は認めていない。
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