発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014367320
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
55歳男。胸部違和感を自覚し、検診で心電図異常を指摘された。心電図検査で洞調律76回/分、V2-4でST軽度上昇とQSパターンを認め、心室内伝導障害を疑う所見であった。超音波検査では駆出率53%、壁運動の異常はなく、左室心尖部に15×17mmの血栓あるいは腫瘍を疑う所見を認めた。手術を施行し、体外循環心停止下に心尖部を切開したところ、血栓ではなく腫瘍を認めた。腫瘍は左室心尖部を中心に浸潤性に波及しており、もろく充実性で、表面不整であった。周囲正常心筋組織を含めて腫瘍を可及的に切除し、人工血管パッチを用いて左室形成術(Dor手術)を行った。病理診断は心臓線維腫であった。術後経過は良好で、術後33日に退院した。術後3年の現在、超音波検査で腫瘍の増生を疑う所見は認めず、駆出率57%で壁運動は良好である。
©Nankodo Co., Ltd., 2014