手術の工夫
成人開心術において合成吸収糸を使用した胸骨閉鎖は可能か
飯田 浩司
1
,
砂澤 徹
,
土居 厚夫
1成田赤十字病院 心臓血管外科
キーワード:
胸骨
,
縫合法
,
縫合糸
,
治療成績
,
開心術
Keyword:
Suture Techniques
,
Sutures
,
Sternum
,
Treatment Outcome
pp.1145-1148
発行日 2013年12月1日
Published Date 2013/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014065760
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成人開心術での到達経路には胸骨正中切開が最も多く用いられ、その際の胸骨閉鎖には一般に金属製ワイヤーが用いられているが、ワイヤーを締める際や術後の咳嗽などの機会的刺激によって胸骨を損傷することがある。また、金属アレルギーを生じたり、CT、MRIなどの撮影でアーチファクトを生じることがある。そこで著者等は、これらの問題を解決するため吸収糸による胸骨閉鎖を試みた。対象は、当科で2006~2011年に成人開心術を行った300例とし、150例に65mm鈍端針付き2号polyglactin編糸を使用し(以下I群)、残りの150例には48mm鈍端針付き1号ループ(二重)モノフィラメントpolyglyconate糸を使用した(以下II群)。結果、両群とも出血再開胸や創感染は1例も認めなかった。I群では5例で胸骨の動揺または滲出液貯留を術後2~4週目以降に認め、ドレナージまたは胸帯による固定を要したが、外科的な胸骨再固定は要さなかった。II群では胸骨閉鎖上の問題は1例も認めなかった。
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