発行日 2013年12月1日
Published Date 2013/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014065759
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
38歳女。健診の胸部X線で左中肺野の腫瘤影を指摘され受診した。胸部造影CTで左S6に径39mm大の境界明瞭な腫瘤影を認め、一部気管支を圧迫していた。PET-CTでは腫瘤に一致して集積が認められた。気管支鏡検査で左B6入行部に壁外性圧迫による狭窄を認め、狭窄部位の経気管支吸引細胞診を行ったところclass Iであったが、画像所見から悪性腫瘍を否定できないと判断し、手術の方針とした。手術所見では、腫瘍は下行大動脈と壁側胸膜に癒着しており、被膜で覆われ、肺との境界が比較的明瞭であったため、腫瘍を肺から核出して迅速病理診断に提出した。病理診断結果から悪性腫瘍の可能性を否定できなかったため、追加で左S6区域切除術を行った。また、上下葉間リンパ節(No.11)の腫大を認めたため、これをサンプリングした。切除標本の肉眼所見は、腫瘍は径40mm大で弾性硬、割面は黄白色充実性で一部に出血壊死を認めた。組織学的所見は小型小核を有する類円形核、立方状の上皮様細胞の充実性または乳頭状の増殖を認め、TTF-1染色陽性であったことから硬化性血管腫と診断した。サンプリングしたリンパ節には腫瘍細胞の転移を認めた。現在、術後5年6ヵ月経過しているが、明らかな再発所見は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2013