症例
左鎖骨下静脈閉塞による内シャント静脈高血圧症に対し大伏在静脈を用いたバイパス術が奏効した一例
中原 光玖仁
1
,
野 宏成
,
加藤 寛城
,
野田 征宏
1石川県立中央病院 心臓血管外科
キーワード:
腋窩静脈
,
病的狭窄
,
血液透析
,
血管造影
,
鎖骨下静脈
,
腎不全-慢性
,
伏在静脈
,
血管移植
,
ブラッドアクセス
,
静脈高血圧
,
バイパス術
Keyword:
Axillary Vein
,
Renal Dialysis
,
Kidney Failure, Chronic
,
Constriction, Pathologic
,
Saphenous Vein
,
Subclavian Vein
,
Angiography
,
Vascular Grafting
pp.465-467
発行日 2021年3月25日
Published Date 2021/3/25
DOI https://doi.org/10.24479/J00714.2021211409
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例は67歳女性で、25年前にメサンギウム増殖性糸球体腎炎による末期腎不全のため、左前腕に内シャントを造設し血液透析導入となった。それ以降、シャント感染および繰り返すシャント狭窄に対し、血管内治療、外科的再建などを複数回行った。12年前には、完全房室ブロックに対し、左側にペースメーカー(PM)移植術を施行していた。2年前より、左上肢の疼痛、腫脹、皮下静脈の拡張・蛇行を認めるようになった。左鎖骨下静脈の閉塞による静脈高血圧症と診断し、血管内治療は、ガイドワイヤーの不通過により治療困難のため外科的血行再建を行う方針とした。全身麻酔下に、PMリード損傷に注意しながら左腋窩静脈と左内頸静脈をテーピングした。その後、鎖骨下にトンネルを作製後、ヘパリンを3000単位静注し、左大腿部より採取した大伏在静脈をトンネルに通した。次いで左腋窩静脈を遮断し、静脈を縦切開し、5-0ポリプロピレン縫合糸を用いて端側吻合した。その後、内頸静脈も同様に5-0ポリプロピレン縫合糸にて端側吻合した。この際、吻合部を鎖骨からできるだけ離すようにし、吻合部の圧迫による狭窄を避けるようにした。血流計にて血流が491mL/分と保たれていることを確認し、手術を終了した。術後、左上肢の疼痛、腫脹、静脈怒張は改善し、血管造影検査でもグラフトが開存していることを確認した。その後、再燃もみられていない。また、腕の位置による血流のうっ滞はみられていない。
Copyright© 2021 tokyo-igakusha.co.jp. All rights reserved.