連載
症例をどうみるか 喉頭原発のクリプトコッカス症の1例
松本 伸晴
1
,
矢部 はる奈
,
小川 郁
1慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科学教室
キーワード:
カンジダ症
,
クリプトコッカス症
,
Fluconazole
,
PCR法
,
喉頭鏡法
,
喉頭疾患
,
鑑別診断
,
生検
,
経口投与
Keyword:
Candidiasis
,
Biopsy
,
Diagnosis, Differential
,
Fluconazole
,
Laryngeal Diseases
,
Administration, Oral
,
Cryptococcosis
,
Polymerase Chain Reaction
,
Laryngoscopy
pp.657-659
発行日 2020年5月1日
Published Date 2020/5/1
DOI https://doi.org/10.24479/J01814.2020274128
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症例は40代女性で、6ヵ月前から嗄声を生じ改善しないため耳鼻咽喉科を受診した。喉頭内視鏡検査では左声帯の全長にわたり白色の粗大な隆起性病変を認めた。腫瘍も鑑別にあがる病変であったため、全身麻酔下での喉頭微細手術による生検を行った。カンジダ症が疑われ、フルコナゾールの内服治療を開始したが、病変は縮小と増大を繰り返し消失は得られなかった。腫瘍性病変や他感染症の可能性を考慮し、初回手術の1年8ヵ月後に再度全身麻酔下での喉頭微細手術による生検を行った。声帯病変の病理検査では莢膜が染色される所見からクリプトコッカスが示唆され、PCR法でもクリプトコッカス属と相同する塩基配列が検出された。肺クリプトコッカス症は否定的であり、喉頭原発のクリプトコッカス症の診断に至った。フルコナゾールを400mg/日に増量して再開、5ヵ月経過し、病変は縮小傾向で嗄声も改善を認めている。
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