発行日 2016年12月1日
Published Date 2016/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2017128008
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80歳女性。上行結腸癌に対し腹腔鏡下結腸右半切除術+D3リンパ節郭清術を施行した。術後は補助化学療法としてUFT/Uzelを6コース投与されたが、術後半年目の胸腹部造影CTにて左肺S8に増大する結節を認めた。18FDG-PET所見では左下葉S8の結節にFDGの軽度の集積を認めたが、その他の肺微小結節にはFDGの集積はなく、局所再発や腹部リンパ節転移を疑わせる異常集積も認められなかった。上行結腸癌の肺転移再発を疑い、診断と治療目的で胸腔鏡下肺部分切除を施行した。手術所見では、腫瘍はS8に存在し、6mm大であった、切除標本の肉眼的所見では、左肺下葉に径5mmの白色~黒色の境界明瞭な病変が認められたが、肉眼的に転移との鑑別は難しかった。病理組織学的所見では、多くのマクロファージと組織球の増生からなる病変組織内にCryptococcusと考えられる粒状構造が多数認められ、その周囲にはリンパ濾胞が認められた。以上より、本症例はCryptococcus感染にて形成された肉芽腫性病変と診断された。退院後、呼吸器内科にてFluconazoleの内服を3ヵ月行ったが、再発は認められていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2016