発行日 2012年5月1日
Published Date 2012/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012264913
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心拍動下冠状動脈バイパス術(OPCAB)を施行した担癌患者6例(男4例、女2例、平均67.3歳)の成績を報告した。悪性腫瘍はそれぞれ多発性骨髄腫、悪性リンパ腫、肺癌、乳癌、胃癌、肝癌で、病期はII~III期であった。2例は化学療法中の胸痛の精査で冠状動脈疾患が判明し、他の1例はOPCAB前のCTで肝癌が診断された。残り3例は腫瘍に対する根治的切除術の術前評価で冠状動脈疾患が認められた。冠状動脈病変は2枝が1例、3枝が5例で、吻合数は平均5.0枝であった。抜管は術直後或いは1病日に可能で、ICU滞在時間は平均3.7日、退院までは術後20日であった。グラフト開存の確認は7~10病日に冠状動脈CTで行い、開存率100%であった。1例は術直後より制御困難な心室細動/心室頻拍を生じ、植込み式除細動器導入となった。化学療法中であった2例は退院後に再開し、肝癌例は精査のため転院した。他の3例はCABGの1~4ヵ月後に根治的腫瘍切除術を施行した。
©Nankodo Co., Ltd., 2012