発行日 2011年7月1日
Published Date 2011/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011292641
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冠状動脈バイパス術において片側内胸動脈(SITA)を使用した54例(男35例・女19例・平均69.5歳)と両側内胸動脈(BITA)を使用した180例(男144例・女36例・平均68.3歳)を対象に、術後正中創感染について比較した。術前因子ではBITA群で男性、不安定狭窄症、心筋梗塞の既往、左主幹部病変の症例、平均冠状動脈病変枝数が多く、再手術例はSITA群で多かった。手術時データではSITA群で合併手術が多く、BITA群でバイパス本数が多く、手術時間も長かった。術後急性期の成績では、SITA群で出血による再開胸止血術が多かった。術後正中創感染の発生頻度は、正中創治癒遷延、表層正中創感染、深部正中創感染のいずれも両群間で有意差はなかった。術後正中創感染の危険因子の多変量解析では、緊急例、高血圧、うっ血性心不全、再開胸が同定され、BITAの使用や糖尿病(DM)は関与しなかった。DM例の術後創部感染の発生頻度をSITA群とBITA群で比較したが、有意差はなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2011