発行日 2010年12月1日
Published Date 2010/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011060405
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47歳女。呼吸困難を主訴とした。縦隔に発生した悪性リンパ腫に対してcyclophosphamide、doxorubicin、vincristine、prednisolone(CHOP)療法6コースと縦隔および全肺野への放射線療法、続いて自家末梢血幹細胞移植を併用した超大量化学療法(MCVAC)を受けており、完全寛解を得ていた。画像所見では左肺容量の著減、肺の硬化像と気道の拡張を認め、臨床経過と画像所見から進行性の続発性間質性肺炎と診断して肺移植を行った。術後、呼吸機能や画像所見は改善し、拒絶反応、感染症のコントロールは良好である。本例の間質性肺炎の原因として抗癌薬や放射線照射の影響が考えられ、化学療法や肺への放射線療法によって高度の不可逆的な肺損傷が生じた症例も、悪性疾患の再発の可能性が低いと見込まれる場合には肺移植の適応となりうると思われた。
©Nankodo Co., Ltd., 2010