発行日 2010年12月1日
Published Date 2010/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011060403
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57歳女。呼吸苦を主訴とした。未加療の子宮腫瘍があり、搬入時には見当識障害、収縮期血圧の低下、頻呼吸、低酸素血症、下腹部の膨満、両下肢の腫大がみられ、胸部X線では両側肺野の透過性亢進を認めた。また、胸部造影CTでは左右肺動脈内や拡大した右房および右室内、右大腿静脈内に血栓が確認され、呼吸循環不全と右心内浮遊血栓を伴う急性広範性肺血栓塞栓症(PE)と診断した。経過中に著明な不穏状態となったため、経皮的心肺補助装置(PCPS)を導入して緊急外科的血栓除去術を行ったところ、術後はPCPSによる補助のもと血行動態は徐々に改善し、脳合併症は認めなかった。本症例ではPCPS稼働時間が144時間に及んだが、術前の迅速なPCPS導入によって右室補助効果だけでなく、左心機能不全への進行を回避できたことが救命に繋がったと考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2010