投稿論文 短報
術中肺血栓塞栓症の発症により心停止を来した1症例
柳澤 晃広
1
,
飯田 章博
,
河内 力
,
岡本 知紀
,
門井 雄司
1行田総合病院 麻酔科
キーワード:
血栓塞栓症
,
術中合併症
,
心停止
,
大腿骨頸部骨折
,
肺塞栓症
,
心肺バイパス術
,
血栓除去術
,
経食道心エコー図
,
股関節置換術
Keyword:
Cardiopulmonary Bypass
,
Echocardiography, Transesophageal
,
Thrombectomy
,
Intraoperative Complications
,
Heart Arrest
,
Thromboembolism
,
Pulmonary Embolism
,
Femoral Neck Fractures
,
Arthroplasty, Replacement, Hip
pp.627-631
発行日 2020年6月10日
Published Date 2020/6/10
DOI https://doi.org/10.18916/J01397.2020306877
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79歳女。右大腿骨頸部骨折に対して人工骨頭置換術が予定された。術中に突然EtCO2と血圧が低下し、直後に心停止となった。ただちに心臓マッサージを開始し、アドレナリンを投与した。Et CO2の急激な低下から急性肺血栓塞栓症を疑い、経食道心エコー(TEE)で右房内の浮遊血栓を確認できたため同症と診断した。いったんは心拍再開し、収縮期血圧が60mmHg台まで回復したが、再び心停止となった。TEEによる観察で右房内の浮遊血栓は出現と消失を繰り返し、そのたびに心停止となり、合計4回の心臓マッサージとアドレナリン投与を行った。4回目の蘇生後に収縮期血圧は60~80mmHg台で安定化した。循環動態を維持するためにPCPSの導入を考慮し、循環器内科医に応援を要請したところ、循環器内科医の判断は、PCPSを使用すれば回路が吸引血栓により閉塞する可能性が高いため、PCPSは装着せず、直視下に血栓除去が行える施設へ移送すべきとのことであった。このため心臓外科常駐病院へ移送し、直視下血栓除去術を施行され、術後経過良好であった。
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