発行日 2011年8月1日
Published Date 2011/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011338808
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急性肺血栓塞栓症(APE)は急性期を乗り切れば予後は良好なため、早期診断や治療が重要である。今回、著者らは心停止に陥った広汎型APE4症例(全例女性、症例1:49歳、症例2:48歳、症例3:68歳、症例4:78歳)を経験し、これを報告した。その結果、症例は全例が院外発症で、危険因子としては症例1ではピルの常用、症例2では左膝関節損傷による杖歩行が考えられたが、症例3・4ではいずれも危険因子をもたないことが注目された。血栓部位は症例1と症例2では左膝窩-下腿、症例3では右下腿、症例4では左下腿であった。治療は症例1~3は経皮的人工心肺(PCPS)の導入により心拍動が再開し、意識レベルの回復後、外科的治療が施行され、合併症なく救命された。一方、症例4は救急搬送中に心肺停止に陥り心肺蘇生が行われ、人工呼吸器装着後に自己心拍動が回復(心停止時間5分)、CTにて亜広範囲型APEと診断され、搬送翌日に手術が施行された。その結果、血行動態が劇的に改善した。以上、これらの経過からもAPEは初期治療や診断、PCPS導入を迅速に行い、手術まで到達できるかが鍵と考えられた。
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