発行日 2008年5月1日
Published Date 2008/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008208424
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44歳女。自動車事故で胸部をハンドルに打撲し、呼吸苦を自覚するが軽度であった。受傷後11日目より呼吸苦が増悪して呼吸困難となり、救急病院へ搬送された。呼吸不全のため気管内挿管された。心臓エコーにて僧帽弁閉鎖不全IV度による急性心不全、肺水腫と診断され、手術目的で当院転院となった。高度な低酸素血症を認め、X線にて両側肺野のうっ血像、心エコーで腱索断裂による僧帽弁後尖中央の逸脱を認め、僧帽弁閉鎖不全症、急性心不全と診断し緊急手術を行った。右側左房切開で僧帽弁を検索し、後尖中央の腱索2本の断裂を認め、後尖逸脱部位の矩形切除・縫合および人工弁輪を用いた弁輪形成術を施行した。体外循環時間は94分、大動脈遮断は64分で体外循環離脱も容易で無輸血であった。術後経過は良好で、2日目に人工呼吸器から離脱、術後1ヵ月で退院となった。退院時僧帽弁逆流をわずか認めたが心機能は正常であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2008