発行日 2008年6月1日
Published Date 2008/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008236399
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症例1:63歳男。弓部、胸部下行、腎動脈下腹部に真性大動脈瘤(TAA)を認め、64列CTによる三次元画像(3D-CT)でTh5~7の範囲に存在し、脊髄栄養動脈はTh10の肋間動脈から起始していた。冠状動脈バイパス術および大動脈弓部置換術を行い、TAAに対してはlong elephant trunk法を用いた。その長さは3D-CT所見に基づき、遠位端がTh7より遠位側でTh10より中枢側に位置するように決定した。症例2:59歳男。Stanford B型の急性大動脈解離で、3D-CTでは脊髄栄養動脈はL1腰動脈より起始し、その腰動脈と左腎動脈は二つの偽腔の一つから分枝していた。発症14日目に背部痛が再現し、CTで下行大動脈近位側の急激な増大を認め、切迫破裂の診断で下行大動脈置換術を行った。遠位側吻合はTh10レベルで行い、脊髄栄養動脈と左腎動脈を温存するため解離の隔壁を一部切除し、吻合後真腔・偽腔ともに灌流されるようにした。両症例とも術後経過は良好である。
©Nankodo Co., Ltd., 2008