発行日 2008年5月1日
Published Date 2008/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008208423
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64歳男。2ヵ月前より乾性咳嗽、発熱が出現し、X線で左上肺野に異常影を認め、精査目的入院となった。CTにより左上肺野に中心部壊死と肺尖部前方の胸壁浸潤を伴う腫瘤を認め、喀痰細胞診および気管支鏡下肺生検から扁平上皮癌(c-T3N0M0、stageIIB)として手術を施行した。前方頸部到達法により肺尖構造を展開し、第5肋間鎖骨中線上より胸腔鏡を挿入し、癌の壁側胸膜浸潤部位を把握しながら胸壁を直径約10cm円状に切離、胸鎖関節をワイヤーで固定して創を閉鎖した。胸腔鏡挿入創を後側方に延長して第5肋間を開胸し、胸壁浸潤部と左肺上葉をen blocに摘除して縦隔リンパ節郭清術を施行した。左肺上葉に中心部に壊死を伴う80×45×70mm大の腫瘍があり、病理所見にて低分化型扁平上皮癌で壁側胸膜および肋骨近傍への浸潤を認めたが、切離断端や縦隔リンパ節転移は陰性でT3N0M0、stageIIBと診断した。経過良好で患側上肢の運動制限や神経障害は認めず、術後6週より放射線照射を行い5年経過現在無再発健存中である。
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